レッスンにいらっしゃっている生徒さんから、ある古いデザインの編み図を再現してくださいと言われました。
まず思ったのが【これを頼まれてしまうと、半月ほかの仕事ができなくなる】ということでした。
ですから、冗談ではありますが『いいけど15万円くらいになります。』と答えました。
とりあえず、持ってきてみてとお持ちいただいたのがこちらです。
はい、見たことはあります。というか私も資料で持っていました。
なんで今まで作らなかったんだろう・・・甘すぎると思ったのか、単に面倒だと思ったのか・・・
それで『糸はたくさんあるので、編み図を数万円でお願いします』とのことでした。
はて・・・私は何を頼まれたのだろうか。私ってこういう仕事をしていましたっけ?
とりあえず、一人の為に半月使えないので、これをキットにして販売する許可を得て再現に挑戦することにしました。
アメリカ発行 NEEDLECRAFT 1916 年より ROUND YOKE IN TATTINGです。
原本のPDFはAPLのデジタルアーカイブからもダウンロードできます。こちら
ただ『英語はわからないし、編み図もないのでわからない、わかるように図解してほしい』とのことでしたので、いつもの要領で解読しながらバイトと製作しました。
1.原本には♯20を使うとありますが、生徒さんは♯30を使いたいとのことでしたので、♯30でやってみます。
2. 糸は1玉ではできそうにないので2玉用意します。
3.苦手なローズチーフを作り、ホイールモチーフとつなぎます。なるほど・・・円にするのね・・・
4.そのあとは割と簡単で、下をつなぎ、上をつなぎ、真ん中がないドイリーの縁取りのようでした。
5. 下の段が、縛って方向を変えるのですが、バイトも私も好きではないのでシャトル2個使いに変更しました。(これでバイトが楽しい!と進めてくれたのです)
ちょこちょこ画像を撮っておけばよかったのですが、割とすぐに進んでしまい、気づいたらできていました。
しかし2週間はかかったな・・・
まあまあじゃないですか?
ヨークというよりは、丸い付け襟のようですので、本当のヨークにするには♯20の方がいいかもしれません。
大げさなのが苦手な方は♯30がいいと思います。
ちなみにヨークというのは
ヨークとは、衣服のパーツの一つ。切り替え布。主に、シャツなどに使用して肩と首の周りを覆う肩ヨークと、スカートに使用して腰の周りを覆うヨークスカートがある。シャツやスカートにギャザーなどを追加して、衣服の可動範囲を確保するのに使われる。 ヨークは19世紀に登場した。
Wikipedia
最近も結構流行っている肩を大きく覆うような切り替えの布のことです。
1900年代のタティングの本にもよく登場します。
古書再現シリーズ 『Tatted Yoke』
1909年発行 PRICILLA Tatting Book No.1 Fig.43より
使用糸:DMCコルドネスペシャル #70 2玉
来上がりサイズ 最大幅 40cm×最大長さ 53cm
襟や大きなドイリーを作るときは、一気に作って後でアイロンを…ではなく、今の段を編み図通りに作ると、きつくなりそう、ひらひらしそう・・・を早めに読み取って、ピコの大きさや引き加減を少しずつ調整するのがコツです。
この襟でいうと一番コツが要るのは、ローズモチーフでもなく、下の段のシャトル2個のところでもなく、中間の三つ葉とチェインの繰り返しのところ。
丸いものの合間を同じ三つ葉でつないで直線にするので、ピコを少し大きくしてわざとずれるようにしました。
ぴちぴちキツキツではできないことだと思います。
これはモチーフ一つやピアスやブレスレットだけ作っていてもわからないことだと思います。
それとクラッシックのものを作るときは、今のようにピコをぴちぴちにしないで大き目に作ることもコツです。
しかしこの図、イラレでレシピにするのに3~4日かかって、3枚あります。
でも、編み図だけ下さいと言われて3万円ですとは言えませんよね・・・
生徒さんには完成するまで通っていただいて、レッスン代をいただくことにしましょう(^_-)-☆
私は何屋さんなのでしょうか・・・
古書再現シリーズ『ROUND YOKE IN TATTING』
アメリカ発行 NEEDLECRAFT 1916 年より再現
内容:DMC コルドネスペシャル #30 2 玉
必要道具:シャトル 2 個・ハサミ・ボンド
サイズ: 幅約 10 cm 襟回り最大 68 cm ( 調製可)
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